養育費

【養育費と再婚②】再婚して子どもが出来たら養育費を減額できる?

「離婚して養育費をまじめに支払ってきましたが、再婚し、子どもが生まれました」
「生活も厳しいので養育費を減額したいのですが」

今回はこの質問を取り上げてみたいと思います。

自分が再婚して、再婚相手との間に子どもが出来たらが養育費を減額できる?

1 【前提】養育費の変更は可能

離婚する際に取り決めた養育費。

一旦取り決めた以上は、何かが生じたとしても自動的に変更されたり、消滅したりすることはありません

養育費の取り決めも離婚に伴う約束(契約)の一つですから、その約束が簡単に変わってしまっては、約束が無意味となりますし、子供のためにもなりません。

支払いが終了するまで、取り決めた内容での支払義務が残ります。

養育費を取り決めたのが離婚協議書でも、公正証書でも調停調書でも同じです。

変更したい場合には、元配偶者と協議をしなければならず、協議が出来ない(合意出来ない)場合は、調停申立をしなければなりません。

調停でも話し合いがまとまらない場合は、調停は不成立として終了(打ち切り)となり、自動的に審判手続に移行します。

審判手続で、裁判官が変更を認めるかどうか、認めるとして幾らの増減額とするかについて判断します。

2 養育費の変更が認められる「事情変更」

養育費の変更が認められるのは、法律上は、「事情に変更が生じたとき」とされています。

第880条
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

この「事情変更」は、養育費を取り決めた際に予見し得なかったような特別な事情が生じたときと一般的には言われています。

養育費を取り決める際に当然に予見し得た事情が現実化したにすぎないような場合などは「事情の変更」があったとは認められません。

3 自分の再婚と子どもが生まれたことは、「事情変更」にあたる?

夫婦が離婚した場合、離婚後にそれぞれが再婚するということは当然にありうることです。

ある意味、当然に予見しえた事情が現実化したに過ぎません。

(1)再婚相手が専業主婦の場合

したがって、再婚した、という事情だけでは、通常は事情の変更が生じたとは言えず、養育費の減額は認められないのが一般的です。

仮に、再婚相手が専業主婦であり、扶養に入れたとしても、通常は、働ける能力があるとして減額は認められません。

もっとも、再婚相手が健康上の理由や、妊娠し、出産準備のため退職した場合など、働きたくても働けない事情がある場合には、「事情変更」が認められる場合もあるでしょう。

(2)再婚相手との間に子が生まれた場合

再婚することは予見しえたとしても、子が生まれることまでは、通常は離婚時に予見しえた事情とはみなされません。

よって、再婚相手との間に子が生まれた場合、扶養対象者が増えたとして、「事情変更」が認められるのが一般的です。

養育費の減額が認められる可能性は高いといえます。

(3)再婚相手の連れ子と養子縁組した場合

再婚相手の連れ子と養子縁組した場合も同様に、減額が認められる可能性は高いと考えられます。

このような事態を離婚時に予見しえたとはいえないからです。

(4)再婚相手が離婚時の不倫相手であった場合

再婚相手が離婚の原因となった不倫相手であったという場合、離婚時に不倫相手と再婚することが想定されていたということも考えられます。

このような場合は、離婚時に予見しえなかった事情が生じたとは言えませんので、「事情変更」が生じたとは言えず、減額が認められる可能性は低いと考えられます。

もっとも、離婚後、何年も経過したのち、元の不貞相手と結婚することになった、という場合には、減額が認められる場合もあるかもしれません。

しかし、このような事情を説明して、元配偶者がすんなり減額に応じてくれる可能性は極めて低いと考えられますし、裁判所としても、慎重に判断するのではないかと思われます。

4 減額の合意が出来ない場合(養育費減額調停申立)

元配偶者に、養育費の減額を求めても、通常は快く応じてもらえることはありません。

減額の合意が出来ない場合は、元配偶者の居住地を管轄する家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てることになります。

減額調停は、あなたと元配偶者の話し合いになりますので、元配偶者の再婚相手が減額調停に関与することはありません。

もっとも、減額の可否、減額するとして幾らの減額が認められるかについては、再婚相手の収入資料の検討が重要になってきますので、元配偶者には、再婚相手の収入資料の提出が調停委員会から求められるのが一般的だと思われます。

調停では、それぞれの事情を真摯に話し合います。

調停でも合意が出来ない場合には、審判手続に移行する点は、上に書いたとおりです。

5 どの程度の減額が認められるのか

どの程度の減額が認められるかは、皆さんが関心があるところだと思います。

これについては、養育費を取り決めて以降のあなたと元配偶者それぞれの収入の変動、再婚相手の収入の状況、子の生活状況によって変わってきます。

調停を申し立て、双方の主張と資料を見てみなければ分かりません。

そもそも、減額が認められないこともありえますので、当然に減額になると考えるのは早計です。

また、元配偶者は、養育費が得られることを前提に生活設計をしています。

養育費は子が健やかに育っていくための大切なお金です。

「当然に減額に応じるべき」という態度ではなく、減額請求をするにしても、このことは頭に入れておくと良いと思います。

まとめ

自分が再婚し、再婚相手との間に子が生まれた場合、養育費を減額できるのか、について解説しました。

養育費の増減額は、子のためのお金という問題と生活に直結するという性質上、互いに感情的になりがちです。

調停の場でも、かなり熾烈なやりとりが行われますので、調停委員としても、特に心してかかる事案です。

本日の記事が参考になれば幸いです。

それでは、また!