養育費

【養育費と再婚①】元配偶者が再婚したら、養育費を減額できる?

「離婚して養育費をまじめに支払っていたところ、風の便りで子どもの親権者となった元配偶者が再婚したという話を聞いた。」

「元配偶者からは何の連絡もない。」

「今後も養育費を払っていかなきゃならないの?」

こういった相談を非常によく受けますので、今日は、この点について取り上げてみたいと思います。

子の親権者となった元配偶者が再婚したら、養育費を減額できる?

1 【前提】養育費の変更は可能

離婚する際に取り決めた養育費。

一旦取り決めた以上は、何かが生じたとしても自動的に変更されたり、消滅したりすることはありません

養育費の取り決めも離婚に伴う約束(契約)の一つですから、その約束が簡単に変わってしまっては、約束が無意味となりますし、子供のためにもなりません。

支払いが終了するまで、取り決めた内容での支払義務が残ります。

養育費の取り決めが離婚協議書によるものであっても、公正証書でも調停調書でも同じです。

一度取り決めた養育費を変更したい場合には、元配偶者と協議をしなければならず、協議が出来ない(合意出来ない)場合は、調停申立をしなければなりません。

調停でも話し合いがまとまらない場合は、調停は不成立として終了(打ち切り)となり、自動的に審判手続に移行します。

審判手続で、裁判官が変更を認めるかどうか、認めるとして幾らの増減額とするかについて判断します。

2 養育費の変更が認められる「事情変更」

養育費の変更が認められるのは、法律上は、「事情に変更が生じたとき」とされています。

第880条
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

この「事情変更」は、養育費を取り決めた際に予見し得なかったような特別な事情が生じたときと一般的には言われています。

養育費を取り決める際に当然に予見し得た事情が現実化したにすぎないような場合などは「事情の変更」があったとは認められません。

3 元配偶者の再婚は「事情変更」にあたる?

では、元配偶者の再婚は、「事情変更」にあたるのでしょうか。

夫婦が離婚した場合、離婚後にそれぞれが再婚するということは当然にありうることです。

ある意味、当然に予見しえた事情が現実化したに過ぎません。

したがって、親権者となった元配偶者が再婚した、という事情だけでは、通常は事情の変更が生じたとは言えず、養育費の減額は認められないのが一般的です。

4 再婚相手と子が養子縁組した場合は減額変更できる?

では、再婚相手と子が養子縁組をした場合はどうでしょうか。

離婚時に子の親権者となった者が再婚し、再婚相手と子が養子縁組をした場合、子は養親の嫡出子としての身分を取得します。

一方、実親との実親子関係は存続します。

つまり、養親と実親の双方が扶養義務を負います

この場合、親権者となった者が再婚し、再婚相手と子が養子縁組をしたことは、民法880条の「事情に変更を生じたとき」にあたり、第一次的な扶養義務を負うのは養親であり、養親らの資力では、十分に子に対する扶養義務を履行できない場合に限って、実親が二次的な扶養義務を負うと解されることが多いのが実情です。

したがって、養親が第一次的な扶養義務を負う以上、親権者とならなかった側から養育費の免除又は減額の請求をした場合、減額(又は免除)が認められる可能性は高いものと思われます。

5 減額の合意が出来ない場合(養育費減額調停申立)

元配偶者に、養育費の減額を求めても、通常は快く応じてもらえることはありません。

減額の合意が出来ない場合は、元配偶者の居住地を管轄する家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てることになります。

減額調停は、あなたと元配偶者の話し合いになりますので、元配偶者の再婚相手が減額調停に関与することはありません。

もっとも、減額の可否、減額するとして幾らの減額が認められるかについては、再婚相手の収入資料の検討が重要になってきますので、元配偶者には、再婚相手の収入資料の提出が調停委員会から求められるのが一般的だと思われます。

調停では、それぞれの置かれている事情を真摯に話し合います。

調停でも合意が出来ない場合には、審判手続に移行する点は、上に書いたとおりです。

6 どの程度の減額が認められるのか

どの程度の減額が認められるかは、皆さんが関心があるところだと思います。

これについては、養育費を取り決めて以降のあなたと元配偶者それぞれの収入の変動、再婚相手の収入の状況、子の生活状況によって変わってきますので、調停を申し立て、元配偶者の主張と資料を見てみなければ分かりません。

そもそも、減額が認められないこともありえますので、元配偶者が再婚し、再婚相手と子が養子縁組をしていたことが分かったからといって、当然に減額になると考えるのは早計です。

また、元配偶者は、養育費が得られることを前提に生活設計をしています。

また、養育費は子が健やかに育っていくための費用です。

「当然に減額に応じるべき」という態度ではなく、減額請求をするにしても、このことは頭に入れておくと良いと思います。

まとめ

親権を取得した配偶者が再婚した場合、養育費を減額できるのか、について解説しました。

養育費の増減額は、子のためのお金という問題と生活に直結するという性質上、互いに感情的になりがちです。

調停の場でも、かなり熾烈なやりとりが行われますので、調停委員としても、特に心してかかる事案です。

本日の記事が参考になれば幸いです。

それでは、また!