養育費

【養育費を回収したい】養育費の給与差し押さえの方法・流れ・費用

離婚調停で養育費の額が決まったにも関わらず、元夫は調停の翌月からまったく支払いません。離婚後の生活は元夫からの養育費をあてにしていたこともあり、とても困っています。
このような場合、養育費を確保する方法として給与差し押さえがあると聞きました。
方法や流れ、費用などを教えてください。

今回はこの質問を取り上げたいと思います。

調停や審判で決まった養育費が支払われない場合の対応

養育費が支払われない場合の対応については以下のとおりです。

1 履行勧告

調停や審判で養育費を決めたにも関わらず、相手方が約束を守らず支払わない場合、調停や審判で利用した家庭裁判所に申出をし、裁判所から相手方に対して養育費を支払うよう勧告をしてもらうことができます。これを履行勧告といいます。

大阪家庭裁判所の場合:履行勧告の申出について

履行勧告は、家庭裁判所が養育費の不払いの事実、その理由などを調査し、不払いについて正当な理由がなければ、相手方に対し、きちんと決められた養育費を支払うよう助言、指導、催促をする制度です。

履行勧告は、申立てが簡単で、手数料もかかりません。

弁護士
弁護士
私の依頼者さんも、一度やってみたら、養育費が支払われました。

しかし、法的強制力が無いため、この手続の中で相手の財産を差し押さえるなどして強制的に養育費の支払いを実現することはできません。

2 履行命令

履行勧告によっても支払われない場合、家庭裁判所は、申立があると、相手方の陳述を聞き、相手方が正当な理由がないのに支払義務を怠っていると認めれば、相当の期限を定めてその期限内に支払えと履行命令を発することができます。

履行勧告を無視しても制裁はありませんが、履行命令に従わない場合には、10万円以下の過料に処せられることがあります。

しかし、履行勧告と同様、この手続の中で相手の財産を差し押さえるなどして強制的に養育費の支払いを実現することはできません。

3 強制執行(給与差し押さえ)

最も強力な手段が強制執行です。

強制執行とは、判決審判書・調停調書執行認諾文言付きの公正証書などの一定の書面で養育費の取り決めがされている場合に、相手の給料や預貯金から強制的に支払いを確保する制度です。

相手方の財産が確実に存在する場合、又はきちんとした勤務先があり定期的に給料を受領しているなど、強制執行をすることで、確実に養育費の回収が見込まれる場合に行うのが一般的です。

弁護士
弁護士
上に書いた履行勧告、履行命令までは、一般の方でも自分で行うことが可能ですが、強制執行は、一般の方が行うのはかなり大変です。
弁護士に依頼して行うことをお勧めします。

給与を差し押さえる場合、未払い分だけでなく、期限がまだ到来していない将来の分も差押えができます。

これは重要なポイントですので、もう1度確認してください。

給与を差し押さえる場合、未払い分だけでなく、期限がまだ到来していない将来の分も差押えができます。

例えば、現在6歳の子どもについて、20歳に達するまで養育費を払うという調停を成立させたにも関わらず、相手が支払わなくなった場合、給与差押をすれば、子どもが20歳に達するまでの残り14年間分の養育費について、延々と毎月の給与を差し押さえて支払わせることができます。

弁護士
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1回差押えをすれば、その後、何回も何回も繰り返し申立てをしなくてよいということです。

更にもう一つ重要なことは、

差押えをして、あわてて相手が未払い分を支払ったとしても、給与差し押さえは当然に解除されないということです。

仮に3か月分の養育費(例えば15万円)が支払われなかったことから、給与差し押さえを行った場合、15万円を支払っても給与差し押さえはこちらが取り下げない限り、効力が継続します。

弁護士
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上の例でいうと、未払いの状態は解消されているのに、14年間相手の給与から養育費を確保することが可能になるということです。

あくまでも、相手がその会社に勤務し続けることが差押えの前提ですが、そう簡単には転職も難しいでしょうから、養育費が確保できる可能性は高まるといえるでしょう。

弁護士
弁護士
ある意味、毎月毎月、相手から支払いがあるかどうか気を揉む必要もなくなる訳です。

差押えることができる範囲

通常の貸金債権などの場合、給料債権の差押えは給料の手取り額(税金や社会保険料等を控除した後の金額)の4分の1までというのが原則です。

しかし、養育費の場合には2分の1まで差し押さえることが可能です。

したがって、給与差押をすることにより、通常、未払い額も含めて回収していくことが可能になります

例えば子ども2人で1人につき養育費5万円を支払う約束をしていた場合で、1年分が支払われなかった場合、未払い額は120万円になります。

相手の給与が手取り30万円であった場合15万円を差し押さえることが出来ますので、未払い分を回収することができます。

また、賞与も押さえられます。

給与差し押さえの流れ・手順

上にも書いたとおり、給与差し押さえを行うには専門知識が必要であり、一般の方が自分で行うのは相当大変で、お勧めしません。

弁護士に依頼すれば全て代わりにやってくれますので、後は回収を待つだけです。

参考までに流れ・手順をざっと確認しておきましょう。

1 必要書類の準備

・ 申立書
・ 当事者目録
・ 請求債権目録
・ 差押債権目録
・ 陳述催告の申立書
・ 資格証明書(相手が会社勤めの場合)
・ 債務名義(調停調書等)
・ 送達証明書

最低限、上の各書類を準備しなければなりません。

2 申立書の提出

裁判所に申立書類一式を提出します。

この際、印紙(4,000円)、切手(約2,500円~3,000円ほど)が必要になります。

3 債権差押命令

申立書類に問題が無ければ、裁判所は債権差押命令を出します。

差押命令は、相手の勤務先と相手の住所に送られます。

送達後、申立人に送達通知書が送られてきます。

陳述催告の回答書も併せて届きます。

4 相手の勤務先との確認等

通常の会社は、自分の会社で雇用している従業員が給与差し押さえを受けるということはそう多いことではないでしょう。

したがって、差押命令が届いた会社は、どう対応したら良いか分からない場合も結構多いのが実情です。

弁護士
弁護士
私の依頼事件でも、相手方の勤務先の会社から対応について教えて欲しいという連絡が入る場合も時折あります。

差押命令が出されたことにより、会社は給与について、差し押さえられた部分(2分の1を上限)従業員に支払ってはならなくなります。

弁護士
弁護士
差し押さえた部分は、会社からこちらへ直接支払ってもらうことになりますので、会社から振り込んでもらう銀行口座を指定します。

私の事務所の場合は、依頼者のための預り金口座を指定し、毎月その口座に振り込んでもらいます。

5 差押え後

差押えを行い、相手の勤務先から養育費が振り込まれるようになると、毎月入金を確認するだけの作業になります。

私の依頼事件の場合は、振り込まれたその日に、依頼者の口座に振り込んでいます。

裁判所に対しては、定期的に取立届を提出しなければなりませんので、これを継続して行います。

養育費の取り立てが終了したら、その旨を裁判所に報告して差押えを終了します。

弁護士
弁護士
このような差押え後の相手の会社とのやりとりや、裁判所に対する取立届の提出なども一般の方が行うのが大変ですので、弁護士への依頼をお勧めしているのです。

弁護士費用

どの程度の費用がかかるかについては、弁護士によってまちまちですので、ホームページで確認したり、法律相談に行き、見積もりをもらってください。

弁護士
弁護士
私のところでも、何人もの依頼者さんの養育費債権について、数年にわたって給与差し押さえを行っていますが、現在のところ、全てのご依頼事件について確実に回収が出来ています。

給与差し押さえをした場合、上に書いたように、法的効果が余りにも大きいため、相手は未払分を全額支払うから、給与差し押さえを取り下げて欲しいと交渉してくることも多く、その後は懲りて養育費をきちんと支払ってくることも多いです。

弁護士費用を払う価値はあるのではないかと思います。

まとめ

昨今の報道や統計から、せっかく決めた養育費が支払われないケースが多発しているということは皆様もご存知かもしれません。

上に紹介した方法で支払いを確保できる場合もあるのではないかと思います。

弁護士
弁護士
養育費は子どものためのお金ですので、不払いは許されません。
簡単にあきらめずに、ぜひ粘ってみましょう。

この記事が少しでも参考になればうれしいです。

それでは、また!