離婚準備・別居

【離婚・別居準備①】別居前にしておくべき7つの準備と注意点

「もう我慢できない!」

「本気で離婚を考えているなら即別居した方が良い、と法律相談でも言われた」

「一緒に暮らしているのが苦痛で仕方が無い!」

どうせ離婚したら別々に暮らすのだから、まず別居しようと考えておられる方も多いでしょう。

しかし、安易に別居を始めると、後悔することになりかねませんので、周到な準備が重要です

今回は、離婚の前に別居する際の注意点とリスクについて解説したいと思います。

 

【離婚・別居準備①】別居前にやっておくべき8つの準備と注意点

1 離婚届の不受理申出書の提出

配偶者に勝手に離婚届が提出されてしまわないよう、離婚届の不受理申出書を提出しておきましょう。

下の記事にかなり詳しくまとめておきましたので、是非お読みください。
夫(妻)に勝手に離婚届を出されそうな場合は必須です。

【離婚・別居準備②】離婚届の不受理申出の提出まとめ 今回はこの質問にお答えします。 離婚届の不受理申出とは 離婚届の不受理申出とは、届出によって効力を生ずる「協...

用紙は、役所に備え付けてあります

本籍地以外でも提出できます。

不受理申出書の有効期限はありません
取下書を提出しない限り、離婚届は受理されません。

2 別居先に持って出るものをリストアップし、引越し準備

相手の了解を得ずに別居を開始する場合、もう荷物を取りに戻ることは出来ないというくらいの気持ちで、必要なものは出来るだけ全部持ち出してください。

但し、家電類など、夫(妻)の生活に必要なものまで持って出ると、間違いなくトラブルになりますので、冷蔵庫、テレビなど、お互いにとって生活必需品といえ、一つしかないものについては、置いて出た方が無難です。

了解を得ずに家を出たことで、夫(妻)は激怒しています。「あれを送って」と頼んでも送ってもらえない可能性が高いことは容易に想像できますよね。

以下のようなものは、持って出るのは必須です。

別居先に持って出るものリストの例

  • 現金(当面の生活費)
  • 自分・子ども名義の通帳、キャッシュカード、銀行印
  • 実印、普段使いの認印
  • 健康保険証
  • 運転免許証・パスポート
  • マイナンバーカード
  • 年金手帳
  • 保険証券
  • 自宅の権利証
  • 子どもの学校関係のもの
  • 母子手帳
  • 日常処方されている薬
  • パスワードなどのメモ
  • 今後離婚の紛争になった際に必要となると思われる証拠類(DVを主張するなら、壁に開いた穴などを写真に撮ってから出る)
  • 配偶者名義の財産のコピー
  • 相手に処分されたくないもの(記念写真・子どものアルバムなど)
  • 子どものおもちゃ類

こちらの記事に詳しくまとめましたので、ぜひご覧ください。

【離婚・別居準備③】別居先に持ち出すものリスト・引っ越し準備の秘訣 本日はこの質問を取り上げてみます。 まずは別居先に持ち出すものリストを作りましょう 一旦別居を開始すると、簡単に...

3 財産分与を主張するための資料の収集

夫(妻)の財産調査

配偶者がどのような財産を持っているのかを、別居を始める前に調査しておきましょう。

法律相談で、相談者の方がよくおっしゃるのが、

「配偶者名義の財産が、どこに何が幾らあるか全くわからない」

です。

家を出て別居を始めるのは女性側が相対的に多いように思いますが、夫がすべての家計管理をしている場合もあります(特にモラハラ事案)。

財産分与の話し合いの際、配偶者が自分の財産を全部開示してくれるとは限りません

手がかりさえあれば、弁護士に依頼すれば、様々な方法により調査を試みることは出来ます(また別の投稿でまとめる予定)。
しかし、何の手がかりも無いとなると、弁護士でも容易には探索できません。

自宅の査定

自宅が持ち家の場合、自宅の価値がどの程度なのかを確認しておくことは重要です。

財産分与の見通しを立てるにあたり、自宅の価値を把握しておくことは必須だからです。

自宅の価値は、不動産業者に簡易査定してもらうことも出来ますが、正確な査定をしてもらうには、家の内覧が必要です。

ペット、タバコ、穴・くぼみ・染みなどは、査定価格に影響します。

持ち家の場合は、別居を開始する前に、自宅の査定を取っておかれることをお勧めします

別居前の準備についてはこちらの記事に詳しくまとめましたので、ぜひご覧ください。

【離婚・別居準備④】財産分与を主張するための資料を収集しましょう 今日はこの質問にお答えしたいと思います。 財産分与とは(簡単におさらい) 財産分与とは、離婚の際、婚姻後に夫...

証拠収集

離婚を前提に別居する場合、将来的には、相手の落ち度を立証していかなければなりません。

言わずもがなですが、証拠さえあれば、協議段階でも調停段階でも、交渉を有利に進めることが出来ます。

証拠が無いばかりに悔しい思いをすることのないよう、証拠収集は怠らないようにしましょう。

4 別居中の生活費の確保(婚姻費用の請求)

別居すると、たちまち生活費に困るという場合もあります。

婚姻費用(生活費)を請求する検討を忘れないようにしましょう。

婚姻費用の額は、夫婦の合意で定めますが、合意がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てて請求します。
最高裁判所の算定表に記載された額を基準に話し合いを行うのが通常です。

婚姻費用の算定に使われる要素は、
1 双方の直近の年収(源泉徴収票・確定申告書等で確認)
2 子どもの数・年齢
3 会社員か自営業か
になります。

別居前の準備についてはこちらの記事に詳しくまとめましたので、ぜひご覧ください。

【離婚・別居準備⑤】婚姻費用を請求するための資料を収集しましょう 今日はこの質問にお答えしたいと思います。 婚姻費用を請求するための資料を収集しましょう 専業主婦で収入がない...

婚姻費用の具体的な請求方法についてはこちらの記事をご覧ください。

5 子どもは出来れば一緒に出る(但しリスクあり)

親権を取得したいなら、子を連れて別居に入りたいところです。

但し、この点については、実務的には微妙な論点です。
最近は、同意なき子連れ別居は、態様によっては、「連れ去り」と評価されてしまう場合もあり、よく争われるようになってきています。

出来れば、今後の子の監護(どちらが子と同居して面倒を見ていくか)をどうするかについて、話し合ってから別居に入るのがよい(というのが建前論)ということになります。

建前論では解決できないのが実際で、この問題は悩ましいのですが、現実には、子を連れて別居を開始しているケースが実務的には圧倒的に多いというのが私の感想です。

また、子を連れて家を出た方(特に幼い子を連れて実家に帰るなどした妻側)に親権が認められているケースも普通に多いと思われます。

家庭内で暴力があるような場合は、連れて出るべきであることは言うまでもありません。

結局、(私見ですが、)親の別居により、子は、両親のどちらか一方と一緒に住まなければならなくなるわけですから、子にとって、どちらと暮らしていくのがより相対的に良いと思われるのか、子の視点からの検討を忘れないことが双方にとって大切だと思います。

子を連れて出ると、子にとってマイナスになることが明白なら、それはやはり連れて出るべきでは無いように思います。

親のエゴに子を巻き込むことのないようにすることが親の責任です。
とはいえ、両方にとって子はかけがえの無いものですので気持ちもよく分かります。
連れて出る場合は、このような問題を突き詰めて考えることが重要なのかもしれません。

6 別居と住民票

DV被害に遭われている方については、住所を知られないようにしなければなりません。

住民票のある市区町村で「住民基本台帳事務におけるDV等支援措置(DV等支援措置)」を受けることができます

この措置が受けられれば、配偶者が以下の申し出や請求をしても市区町村が制限できます。詳しくは住民票のある市区町村にお尋ねください。

1 住民基本台帳の一部の写しの閲覧
2 住民票(除票を含む)の写しなどの交付
3 戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付

ただ、「誤って交付してしまった」というニュースが時折流れています。
行政も100%大丈夫とは言い切れませんので、しばらく住民票を移さないという選択肢もありえます。

ちなみに、離婚調停は、現住所を記載しないでも申し立てることは出来ますし、現住所を秘匿したまま進めることも出来ます。

具体的な手続や方法は、家庭裁判所によって異なりますので、申し立てる際に事情をよく説明して相談してみるとよいでしょう。

7 別居理由の再確認

夫婦間には、法律上の同居・扶助義務があります。

民法752条

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

配偶者の同意なく別居するには、相当な理由が必要です。

勝手な理由で別居を開始した場合、婚姻費用の請求をしても認めてもらえない場合もありますし、有責配偶者とされてしまえば、必ずしも離婚が認められるとも限りません。

したがって、別居の理由をきちんと説明することが出来るか、自分の中で再確認をしてみましょう。
相当な理由と言えるかどうか、法律相談を受けに行ってもよいかもしれません。

相当な理由といえるのは、以下のような場合です。

  • 不貞
  • DV・モラハラ
  • 過度な宗教活動
  • 性の不一致
  • ギャンブル
  • 多額の借金 などです。

自分が有責配偶者(たとえば自分が不貞行為をした)というような場合、勝手に別居をすると、一層非難を受けることにもなりかねません。

別居するにしても、真摯に話し合いを行ってからにしたいものです。

8 児童手当受給者の変更手続の準備

別居後、夫の口座に振り込まれていた児童手当の受給者を妻に変更し、妻の口座に振り込まれるように変更することが可能です。

変更手続をとるのは「別居後」になりますが、「別居前」から児童手当を夫から自分に変更する手続を取ることについて頭にいれておきましょう。

夫が自分の口座に振り込まれた児童手当をすんなり送金してくれるとは限りませんよね。

変更手続を取っておけば、支給日に自分の口座に振り込まれるので安心です。

夫からの送金が期待できそうにない場合、以下の記事を参考に変更手続を取りましょう。

【離婚・別居準備⑥】児童手当の受給者変更の準備をしましょう 今回はこの質問を取り上げたいと思います。 児童手当とは 児童手当とは、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初...

まとめ

別居前にしておくべき8つの準備と注意点、いかがでしたか。

離婚後の生活を本当にまわしていけそうかについては、かなり慎重に検討が必要です。

できれば、別居する前に、一度法律相談に行っておかれることをお勧めします。

信頼できそうな弁護士から、自分の置かれた状況に即した具体的な助言を受けておくと、心理的にも楽になるかもしれません。

このページのリンク先に、詳しめの記事を載せてありますので、そちらもご覧ください。

この記事が少しでも参考になればうれしいです。

それでは、また!