離婚調停

【離婚調停】調査官が作成する調査報告書って何が書かれているの?

離婚調停で調査官の調査が行われると、調査報告書というものが作成され、裁判官が判断する際に重視されると聞きました。
調査報告書はどのように作成され、何が書かれているのしょうか。

今回はこの質問を取り上げたいと思います。

調査報告書の作成

調査報告書を作成するのは家庭裁判所調査官です。

調査官については以下の記事をお読みください。

自分の調停に調査官が入りました。いったい家裁調査官って何する人?自分が調停室に入ると、男女の調停委員のほかに、なぜかもう一人、職員さんらしき人が座っている。 「この人誰?」と思いながら座るなり、...

調査報告書は、裁判官の調査命令により調査した結果(子の状況、子の意向、監護状況など)を報告書にまとめた書類です。

ですので、調査報告書の宛名は、調停の各当事者ではなく、裁判官宛になっています。

調査が行われるまで

調査官調査は、調査官が裁判官から次回期日までの間に、特定の事項について調査するよう命令(調査命令)を受けて行われます。

弁護士
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調査官が独自の判断で調査を行うということはありません。

次回期日までの間に行われる調査を「期日間調査」といいます。

次回期日までの間に調査を行う関係上、次回期日は、通常より間隔を開けて指定され(例えばいつもなら1か月先に次回期日を指定するところ、2か月先にするなど)、その間に調査が行われます。

調査を行う調査官は、通常、調停期日に立ち会っていた調査官です。

調査官は、裁判官から期日に立会の命令を受けると、記録を読み込み、調停委員とともに期日に出席し、調停委員会と連携しながら当事者の調整を行ったり、主張の整理を行ったり、調査の必要性や調査を行う時期を検討したりします。

調査官は、記録と調停期日に出席した際に検討した結果(意見)を裁判官に伝え、裁判官は調査官から得た意見を踏まえて調査命令を出すかどうかを判断します。

調査報告書が作成される時期

調査官の調査が行われると、調査報告書が作成されます。

調査報告書は、次回期日に利用されることを前提に作成されますので、次回期日の相当期間前には完成され、裁判官に提出されています。

調停委員会は、この調査報告書を検討して次回期日に臨みます。

弁護士
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調査報告書は、当事者にも閲覧してもらうことを前提に作成されていることがほとんどであり、次回期日までに事前に閲覧し、検討してから次回期日に臨むように言われることもあります。

調査報告書の閲覧

家事事件手続法は、調停事件の記録について、当事者から閲覧申請がされた場合、「相当と認めるとき」に許可することができるとされています。

調停の性質上、すべての記録を開示すると調停の円滑な進行に悪影響を及ぼすおそれがあるからです。

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しかし、実際には、当事者それぞれが相手の主張や提出資料を認識して調停を進行することが相当と考えられており、重大な私生活上の秘密が含まれているとか、危害を加えるおそれがあるといった特別の事情がない限り、閲覧申請は許可されることが一般的であると思われます。
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調査報告書は当事者に閲覧されることが前提に作成されているため、当事者が閲覧の申請をするとほぼ間違いなく許可されます。

ただし、調査報告書のうち、調査官が閲覧を認めるべきでないと考える部分(たとえば子供が「パパ(ママ)に伝えないでほしい」と言いながら調査官に打ち明けた心情など)は、非開示とすべきという調査官意見が付されて裁判官に提出されますので、当該部分について裁判官が閲覧を許可されることは通常ありません。

調査報告書の内容

調査報告書の形式は決まっていませんが、「調査結果」「調査官意見」で構成されていることが一般的です。

「調査結果」は、いつ、どこで、誰に対し、どのような説明をしたうえで、どのような聴き取りを行い、どのような説明や主張がされたか、どのような観察結果が得られたかが記載されます。

具体的には、「申立人の主張」「相手方の主張」「申立人の状況」「相手方の状況」「申立人の監護方針」「相手方の監護方針」「子の状況」「子の監護の状況」「監護補助者の状況」「子の聴取内容」「家庭訪問調査結果」などの項目に分けて記載されています。

弁護士
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調査結果は、ちょっとした表情、仕草から他愛の無い発言まで驚くほど詳細に記載されています。

「調査官意見」は、文字通り調査官が調査結果を踏まえ、たとえば面会交流についてどのような方針で臨むのが適切か、親権についてどちらを親権者とすることがより子の福祉に適うのかといった事柄について、調査結果を分析・評価し、意見を記載します。

特に、子どもに対する調査については、子が未だ自分の意向や心情をうまく説明できないことも多いことから、言葉を鵜呑みにするのではなく、調査の内容や観察結果から分析したうえでの意見が記載されます。

数十ページに及ぶ報告書が作成されることもしばしばあります。

調査報告書が作成された後の対応

調停時に行われる調査官調査及びその結果が記載された調査報告書は、その後の調停や審判の進行に大きく影響を与えます。

これは実務的にはほぼ間違いありません。

調査結果が出た場合は、その内容をよく読み、今後の対応を検討しなければなりません。

想定した範囲内の調査結果であれば何の問題もありません。
(ただし、調査意見には極めて示唆に富む事柄が書かれていることが多いですので、調査意見についてより深く検討する必要はあります。)

一方、予期しない調査結果、特に自分に不利な内容の調査報告書が作成された場合、まずはそれを真摯に受け止めなければなりません。

反省すべき点は反省し、関係者(特に子ども)の心情を想像し、今後の対応を考えることになります。

ただ、調査官も万能ではありませんから、記載されている調査結果が事実と異なっていたり、調査官意見が一方的な見方で書かれているとしか思えないと感じることも、ひょっとしたらあるかもしれません。

弁護士
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そのような場合には、調査報告書に対しても、意見書を提出して、疑義を述べておくことも大切ではないかと私は考えます。
弁護士
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実際、私が代理人をつとめた事件について、面会交流は直接交流ではなく間接交流に留めるべきという調査報告書が作成された際、「調査報告書には誤りがある!」「再調査がなされるべき」という意見書を即座に提出したことも何度かあります。
弁護士
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もっとも、調査報告書は適正な調停のために作成されるもので、上に述べたとおりまずは真摯に受け止める態度(自分の認識は少し事実や関係者の心情と異なっていたのではないかと自問すること)が必要なのではないかとというのが私の基本的見解です。

ぜひ調査報告書を理解し、よりよい調停解決を実現してください。

それでは、また。