離婚準備・別居

【離婚・別居準備⑤】婚姻費用を請求するための資料を収集しましょう

夫と別居しようと思います。法律相談にいくと、弁護士さんから婚姻費用を請求するための資料の収集をしてから別居すること、夫が生活費をくれないようならすぐに婚姻費用分担請求調停を申し立てるよう勧められました。どのような資料を集めればよいか、詳しく教えてください。

今日はこの質問にお答えしたいと思います。

婚姻費用を請求するための資料を収集しましょう

専業主婦で収入がない場合や、パート収入だけで生活費の全部をまかなうことが出来ない場合、別居してすぐに婚姻費用がもらえないと、生活が回らなくなります。

生活費の目途を立てずに、別居してはいけないとさえいえます。

婚姻費用(生活費)を請求して確保することをまず第一に考えましょう

婚姻費用は、夫婦関係にあることそれ自体を根拠に認められるものです。

夫から、「恩恵的」に支払ってもらうものではなく、法的な権利ですので堂々と請求してください

婚姻費用の額は、夫婦の合意で定めますが、合意がまとまらない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停・審判を申し立てて請求します。

最高裁判所の算定表に記載された額を基準に話し合いを行うのが通常です。

婚姻費用の算定に使われる要素は、
1 双方の直近の年収(源泉徴収票・確定申告書等で確認)
2 子どもの数・年齢
3 会社員か自営業か
になります。

別居してしまうと、夫の収入資料は手に入れるのは難しくなります。

同居している間に、できるだけ夫の収入が分かる資料のコピーを取っておきましょう。

かなり重要です。

もっとも、夫の収入資料が無ければ調停の申立てが出来ないわけではありません

調停手続の中で、裁判所から夫に対し、収入資料を提出するように求めます。

半ば強制ですので、夫の収入資料は、調停手続の中で確認することが出来ます

しかし、夫から資料が提出されるまで、夫の収入が分からないということは、それまで適正な婚姻費用がいったい幾らなのかが分からないということです。

適正な婚姻費用が分からなければ、別居後の生活設計が立てられませんよね?

夫の収入資料を確保し、婚姻費用の見通しを立ててから別居することをお勧めします。

婚姻費用が支払われず、将来婚姻費用月額が定まった場合、遡って支払ってもらえるのは、実務的には調停申立時(事案によっては請求意思が明らかになった時)以降の分だけです。

(当然に別居時からの分を遡って支払ってもらえる訳ではありません。)

ですので、請求した時点を証拠に残すため、具体的に請求を行う際には、配達証明付き内容証明郵便で行うか、婚姻費用分担請求調停を申し立てたうえで、交渉しましょう。

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婚姻費用の請求のために必要な資料

1 源泉徴収票

源泉徴収票は、その年1年間に会社から支払われた給与等の金額と、源泉徴収された所得税の金額が記載された書類です。

夫が給与所得者の場合、年に1回源泉徴収票をもらっているはずですので、これをコピーしておきましょう。

直近年度分だけでなく、過去3年分くらいコピーが取れればなお良いです。

婚姻費用の計算に使用される「年収」が「支払金額」欄を確認すれば一目瞭然です。

これが確保できれば、給与明細がコピーできなくても婚姻費用の請求という意味では十分です。

但し、細かな検討や、財産分与を検討するにあたって給与明細に記載されている控除項目を確認することは大事ですので、出来れば給与明細も併せてコピーしておきましょう

給与明細は、平均額を計算したりしますので、直近3か月~半年分をコピーしておきましょう。

2 所得証明書(課税証明書)

夫の源泉徴収票が見つけられない場合、役所で所得証明書(課税証明書)を取りましょう。

普段、所得証明書(課税証明書)を取ることなどないかもしれませんね。

所得証明書(課税証明書)とは、市区町村に対して納めている住民税の額(又は非課税)を証明する書類です。
収入と所得も記載されていることから、この書類により婚姻費用の算定が可能になります。

同居している配偶者の場合、夫の委任状無しで夫の課税証明書の発行が受けられる市区町村がほとんどです。

別居して住民票を移してしまうと、戸籍上は夫婦であっても、課税証明書の発行が受けられなくなります

ですから、別居する前に、夫の課税証明書を確保するようにしてください

なお、過去5年分を遡って取得することが出来ます。

自営業者で収入の変動幅が大きいような場合は、過去数年分の平均値を見ることがあります。

また、悪質な配偶者は、離婚紛争になりそうになると、わざと収入を下げることで、婚姻費用や養育費の額を下げようとしたりすることがあります

したがって、取れるうちに、過去5年分の発行を受けておかれることをお勧めします

なお、専業主婦の場合は、収入・所得がありませんので、0円の課税証明書(非課税証明書)が交付されます。

専業主婦の場合、源泉徴収票もありませんので、収入が無いことの証明は、この非課税証明書で行います。

併せて取っておきましょう。

3 給与明細書

上に書いたとおり、婚姻費用の請求には、源泉徴収票、課税証明書があれば、請求に必要な「年収」が確認できますので、給与明細の確保は必須ではありません。

しかし、毎月の給与と賞与の確認が必要になったり、控除項目の確認が必要になる場合がありますので、出来る限りコピーを取っておきましょう。

4 確定申告書

夫が自営業者の場合は確定申告して納税しており、源泉徴収票はありません。

会社員でも配当収入や不動産収入がある場合、確定申告をしているはずです。

したがって、これらに該当する場合には、確定申告書のコピーが取っておきたいところです。

ただ、確定申告書は、夫が事業所に保管している場合なかなかコピーが確保できないことも多いのが現実です。

この場合には、とりあえず、上に書いた課税証明書を取っておきましょう。

もっとも、支払側が自営業者の婚姻費用を具体的に計算するには、課税証明書だけでは不十分で、確定申告書の確認が不可欠です。

ですので、現実的には婚姻費用分担請求調停を申し立てて、調停手続の中で確認することになる可能性も高くなるでしょう。

一方、妻が経理を担当している場合には、容易に確保できるでしょう。

まとめ

別居を考える場合、別居後、本当に生活していけるのかを検討するにあたり、婚姻費用が幾らになりそうなのかを考えておくことは必須です。

すんなり相手が離婚に応じれくれればよいですが、離婚調停や離婚裁判になると、半年~1年以上揉める可能性も十分に考えられます。

別居すると、相手はより攻撃的になったり、猜疑心をむき出しにして、支払いを拒んだりすることもあります。

別居するまでの間に、できる限りの準備をしておきましょう。

婚姻費用の具体的な請求方法についてはこちらの記事をご覧ください。

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この記事が少しでも参考になればうれしいです。

それでは、また!