養育費

面会交流と養育費|面会交流を拒否されたら養育費を払わないでよい?

離婚協議中です。別居してから一度も子どもと会わせてもらっておらず、今後も会わせるつもりはないと言われています。もう子どもと会えないなら、いくら育ててもらっているといっても養育費を支払いたくはありません。
面会交流を拒否されたら、養育費を払わなくて良いのでしょうか。

今回は、この質問を取り上げたいと思います。

面会交流のおさらい

夫婦が離婚する際、未成年者の子がいれば、父母のいずれか一方が親権者(単独親権)となり、子と同居して監護養育することになります。

離婚する前でも、夫婦が別居している場合には、父母のいずれか一方が子を監護養育しています。

このような場合に、子を監護養育していない親(非監護親)が子と会うことを「面会交流」といいます。

面会交流と養育費の条件付け主張

現在では、非監護親(子どもと一緒に暮らしていない方の親)と子どもの面会交流は、子どもの福祉(子どもが健やかに成長していくこと)にとって重要だと考えられています。

家庭裁判所も、子の福祉に反する例外的な事情がある場合を除き、面会交流は原則として実施すべきという運用をしています。

しかし、実務では、夫婦(又は元夫婦)の感情的な争いから、そのような子の福祉に反するような例外的な事情がないにもかかわらず、面会交流を一方的に拒絶されたり、「面会交流をさせたくないから、養育費はいらない」あるいは「面会交流を希望通り認めるから養育費を増額してほしい」といった面会交流と養育費の支払いを条件づけるような主張がしばしば見られます。

面会交流を拒否されたことを理由に、養育費の支払を拒否することはできる?

確かに、面会交流を拒否され、子と会うことが出来ないのに、お金だけ要求されるというのは納得いかないという心情はよく理解できます。

子どもと会うことができなければ、子どもの成長を実感することが出来ず、子どもと精神的な交流を行うことも出来ませんので、自分だけが義務を果たし養育費を支払うモチベーションも下がりがちです。

しかし、法的には、養育費は民法(877条1項)が定める親子間の扶養義務の問題で、子の福祉のために実施すべきとされる面会交流とは次元が異なる問題なのです。

弁護士
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したがって、裁判所の実務では、「相手が養育費を払わないから面会交流させない」とか、「相手が面会交流させないから養育費を支払わない」といった面会交流を養育費を関連付けて条件とするような主張は認められません。
弁護士
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また、養育費も面会交流も子のためのものですので、「養育費を支払わなくてよいから面会交流させない」というように、親の一存で子の権利を放棄するような主張も認められません。

したがって、面会交流を拒否されたことを理由に、養育費の支払いを拒否したり減額したりすることは出来ません

離婚調停中に、上のような交換条件とするような主張をした場合、調停委員や調査官からも、必ず同じ説明を受けることになります。

養育費を支払わないという主張を続けたら

調停では、上のような面会交流を実施すべきでは無い子の福祉に反するような例外的な事情が無い限り、面会交流を実施するように促されます。

一方、養育費は適切な額を支払うように求められます。

既に調停や審判で養育費の具体的な額が定められていた場合には、面会交流が拒否されたことを理由にして養育費の支払わずにいると、監護親の申立てにより裁判所から履行勧告を受けたり、給与差押を受けたりすることになりかねません。

面会交流と養育費

子どもにとっては、どちらも親であり、扶養を受ける権利があります

面会交流は子どもを精神面から支え、養育費は経済面から支える制度です。

これらはどちらも欠けてはならない車の両輪のようなもので、どちらも同じくらい子どもにとって大切なものです。

子どもと別々に暮らさざるを得なくなった親は、面会交流の機会でしか子どもの成長を実感することが出来ず、精神的な交流を行うことも出来ないのです。
面会交流の機会を通じて、親としての自覚と責任感を再確認するという意義があります。

弁護士
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子どもに会うことも出来ず、ただ養育費名目でお金だけを要求されているようでは、やがて子どもの成長に関心を持てなくなり、親としての自覚や責任感が消え失せてしまいます。養育費を支払う意味を見出せなくなってしまうかもしれません。
非監護親をそのような状態にさせてしまうことは、子にとってマイナスであり、監護親としてすべきことではありません。

弁護士
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非監護親が経済的にも余裕があるのに養育費を払わないのであれば、「きちんと養育費を払って欲しい」と請求すべきであって、「養育費を払わないなら会わせない」というべきではありません。
また、監護親が面会交流を認めないなら「子の福祉のためにも面会交流を実施してほしい」というべきであって、「会わせてもらえないなら養育費を支払わない」というべきではないのです。

まとめ

面会交流と養育費を交換条件にするような主張は認められないのは上に書いたとおりです。

しかし、実際問題としては、相手が会わせてくれないのに養育費を払い続ける、または逆に養育費を払ってくれないのに面会交流ばかり要求されるというような事態に直面している際に、誠実に対応し続けることは感情的に難しいということはよく理解できます。

このような場合には、一度弁護士に相談し、交換条件ではなく、堂々と「自分はきちんと義務を履行するからそちらも自分の義務を果たして欲しい」という主張を展開してもらうべきです。

結局は、それが子のためになるのです。

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この記事が少しでも参考になればうれしいです!

それではまた!