面会交流

【面会交流を拒否できる場合③】子どもが面会交流を拒否している

夫と離婚協議中です。夫は子どもとの面会交流を要求しています。私は夫に会っても良いと思っており、「会ってきたら」と夫との面会交流を持ちかけているのですが、中学生の子どもは夫に対する拒否感が強く、会いたくないと言っています。
子どもが夫との面会を拒否しているのは、私に気兼ねしているのか、同居時の夫の態度が許せないのか、単に思春期だからなのか、真意は分かりません。
このような場合でも、無理やり面会交流を行わなければならないのでしょうか。

今回はこの質問を取り上げたいと思います。

前提知識(判断基準について)

面会交流の判断基準についてはこの記事にまとめています。

【面会交流の判断基準】面会交流は求められたら拒否できないの? 今回はこの質問を取り上げたいと思います。 面会交流のおさらい 夫婦が離婚する際、未成年者の子がいれば、父母の...

面会交流と子どもの意思

現在では、非監護親(子どもと一緒に暮らしていない方の親)と子どもの面会交流は、子どもの福祉(子どもが健やかに成長していくこと)にとって重要だと考えられています。

家庭裁判所も、子の福祉に反する例外的な事情がある場合を除き、面会交流は原則として実施すべきという運用をしています。

ただし、子どもの意思を最大限に尊重すべきであることは言うまでもありません。

家庭裁判所実務でも、未成年者である子が結果によって影響をうける審判手続においては、家庭裁判所調査官による調査その他の方法により、子の意思を把握するように努め、子の年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないとされています(家事事件手続法65条)。

家事事件手続法

第65条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない

審判手続に至る前段階の調停段階、その更に前段階の協議段階でも、子の意思を尊重しなければならないことは当然です。

弁護士
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実際、調停段階で家庭裁判所調査官による調査が行われることもしばしばあります。

子どもの意思の把握の限界

子どもに非監護親と面会交流することについての意向確認をすることは、子にとって精神的負担が大きく、場合によっては取返しのつかない記憶を残してしまうことにもなりかねません。

弁護士
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したがって、意向確認は、極めて慎重に方法をよく検討して行わなければなりません。

「子どもの意思の確認」といっても、子どもの真意は外から確認できないものですし、子どもの口から出てきた言葉が本心とも限りません

弁護士
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ここが実務では、本当に難しく悩ましいところなのです。

子どもは両親のどちらも好きですから、板挟みの心理状態になっています。いわゆる忠誠葛藤の状態に陥ってしまうこともあります。

一方の親に忠誠を尽くして認められるような行動をとることは、他方の親から嫌われるのではないかと不安な気持ちになっているかもしれません。

本心では面会交流に行きたくても、本心を言うと監護親が悲しむことが分かっているから、「行きたくない」「会いたくない」と言ってしまうこともあります

弁護士
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監護親が言わせていなくても、子どもが思いやりのある「良い子」であるほど、このようなことが起きやすいのではないかと思います。

ですから、親は、面会交流の実施条件を争うのではなく、大人として自制し、子どもが安心して面会交流に行き、楽しい時間を過ごせるよう、協力し合える方法を努力して考えるべきです。

夫婦の問題に子を巻き込んではいけません。

子が面会交流を拒否する意思を明確にしている場合

実務ではご質問のように、「子どもが面会交流を拒否する意思を示している」ケースが意外と多いです。

特に監護親がそそのかしている訳でもないのに、子どもが面会交流を拒否する意思を明確に示している場合はたくさんあります。

監護親は、子どもの意思を尊重しようと、調停時に「子が会いたがっていない」「絶対に会いたくない」と言っている、だから面会交流は制限して欲しい、と主張することになります。

それを聞いた非監護親は、「そんなはずはない」「同居時は関係は何の問題もなかった」「監護親が悪口を吹き込んでいるからだ」「一度会えば子どもに分かってもらえる自信がある」などと反論します。

非監護親も、子どもが面会交流を拒絶するはずはない、と信じ切っているケースも多いです。

上のような双方の主張の対立は、本当によくあり、結局子どもの真意が分からないところがネックということになります。

家庭裁判所調査官による調査が実施されることが多いと思われますが、調査官により作成された調査報告書をよく読み、子どもの心情を想像することが大切だと思います。

調査報告書の内容に不満を感じることもあるかもしれませんが、それが現実であり、受け止めなければなりません。

弁護士
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非監護親としては、一刻も早く直接で長時間の面会交流をしたい気持ちはよく分かりますが、まずはメールやLINE、手紙などの間接交流から始める、直接交流にしても、まずは1~2時間程度ランチを一緒に取るというくらいからゆっくり始めてみるといった大らかな態度で臨むことも重要ではないかと思います。

自制する姿を見せ、両親の対立が子どもの目からみても緩和されていると感じられれば、子どもは安心して非監護親と会えるようになります。

弁護士
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非監護親の主張(子どもが会いたくないと言っている)を嘘だと否定すると、それは取りも直さず子の主張を信じないということですから、子どもは「自分が会いたくないと言っているのになぜ信じてもらえないのか」「僕(私)のいうことを信じてくれないの?」と憤慨し、悲しむことになりかねません。将来、会えることになったとしても、子どもの記憶にずっと残り続け、関係がぎこちなくなってしまう恐れもあるでしょう。 

一方、監護親は、幾ら子どもが会いたくないと言っているにしても、それを助長して会わない方向へ持っていくのではなく、子の気持ちに変化が起きるよう促していくことが重要ではないかと思います。

結局は、大人のエゴではなく、子どもの将来を双方が真剣に考えることです。

まとめ

子どもの意思の尊重といっても、子どもの年齢や性別によって異なってくることは言うまでもありません。

結局、子どもは未成熟なのであり、自分自身も整理がついていないことも多く、意思の確認といっても容易なものではありません。

弁護士
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発言だけでなく、真意はどこにあるのか、なぜそのような発言が出てくるのかを想像し、子にとってもっとも良い面会交流の在り方を見つけていきたいものです。

「正解」は無いので、最も「ベター」な選択を、大人として、親として探していくという視点が大切ではないでしょうか。

それではまた!