面会交流

【面会交流を拒否できる場合①】子・監護親への暴力・虐待があった場合

3か月前、夫のDVがひどくて離婚しました。最近になって元夫は子に会わせろと面会交流を求めてきています。
元夫は子どもに手をあげることはありませんでしたが、子どもの前で何度も私に暴力を振るっており、子どもはそれを見ていました。
子どもはまだ小学1年生ですが元夫を怖がっています。このような場合も元夫との面会交流を認めなければならないのでしょうか。

今回はこの質問を取り上げたいと思います。

前提知識(判断基準について)

面会交流の判断基準についてはこの記事にまとめています。

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過去に子どもに対して暴力・虐待があった場合

過去に、非監護親が子どもに対して暴力・虐待をしていた場合、面会交流は禁止・制限されることになるでしょう。

家庭裁判所が原則実施論を取っていたとしても、子に対する虐待があった場合まで面会を強制することは通常ありません。

問題は、非監護親が、子どもに対する暴力・虐待を全部否認(虐待などしたことがない)又は一部否認(監護親がいうような行為はしていない)することも多いということです。

子どもの痣の写真や非監護親から暴力を受けた際の診断書、児童相談所や警察に相談した際の相談記録などを提出して立証しなければなりません。

弁護士
弁護士
同居時から子どもに対する虐待の証拠を残している方は正直少ないですが、将来、子どものために面会交流を拒絶したいという場合には、可能な限り、証拠を残しておくことが大切です。

過去に現在の監護親に対して暴力があった場合

同居時に、監護親が非監護親から暴力を受けていた場合はどうでしょうか。

この場合、確かに、子どもには直接暴力をふるっている訳ではありません。

しかし、子どもの面前での暴力は、それ自体が児童虐待と評価されることがあります。

児童虐待防止法第2条4項は、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を心理的虐待の一つに挙げています。

児童虐待防止法

(児童虐待の定義)
第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
1~3 略
4 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと

弁護士
弁護士
したがって、非監護親が、過去に子どもの面前で監護親に暴力を振るっていた場合には、心理的虐待があったとして、監護親としては面会交流を拒否する事情があるとして争ってよいことになります。

裁判所も、面会交流の実施を認めるべきかどうかは慎重に判断することになります。

面会交流を実施する場合

過去に監護親に対する暴力があったとしても、現在は反省して行動を改めている様子が見られたり、子どもとの関係はそれほど悪くなかった場合、面会交流実施を模索することがあります。

しかし、このような場合には、面会交流の実施方法をどうするかが難題です。

子どもがまだ幼い場合、面会交流実施日に子どもの受け渡しをしなければなりませんが、暴力を受けていた監護親が自ら受け渡しを行うことは困難です。

このような場合には、監護親の両親(子にとっての祖父母)、きょうだいなど、面会交流実施を援助してくれる近親者が確保できるかが重要になることも多くなります。

また、面会交流実施支援団体の利用も検討されます。

しかし、利用するには一定の料金が必要であることと、期間に制限があることも多いことから、長期にわたって利用することは想定されていません。

監護親が同居時の非監護親による暴力によってPTSD等に陥っている場合には、子どもを面会交流に送り出すという事実がより症状を悪化させてしまうことにもなりかねません。

したがって、このような場合の面会交流は、とても難しい事案と言えます。

一度試行的に行ってもうまく行かない場合も散見されます。

まとめ

面会交流は、

1 外から確認することが可能な禁止・制限事由の有無の認定と、

2 子の内心という外からは確認することが出来ない重要な要素の評価を伴い、

3 実施するにしても、現実の実施方法をどのようにするかという側面があり、

裁判所も含め、すべての当事者が頭を悩ませる難しい問題です。

審判で裁判所が一定の方針を決めても、事実上強制が難しいこともあり、審判が出れば全てが解決するわけでもありません。

このような難しい問題を、自分と子どもだけで悩むのは負担が大きいようにも思います。

事態が大きく好転することが約束される訳ではありませんが、一緒によりよい方法を考え、非監護親の立場と子の心情を説得的に主張してくれる弁護士にもし出会えたら、依頼して一緒にたたかってもらうことも、検討に値するのではないかと思います。

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この記事が少しでも参考になればうれしいです!

それではまた!