不貞慰謝料

【不貞慰謝料の示談書】支払いをする側はこの条項に注意

今回、自分の不倫が発覚し、不倫相手の夫に不貞慰謝料を支払う内容で示談書を作ることになりました。
不倫相手の夫は、私に二度と不倫相手(妻)と会わないことを求めており、私も会うつもりは無いのですが、示談書に違約金の条項を入れることを求めています。
偶然出会った場合などにも違約金が発生しないか心配です。

今回はこの質問を取り上げたいと思います。

不貞慰謝料の示談書に記載されることが多い条項

不貞慰謝料の示談書に書かれることが多い条項は、以下の記事に詳しくまとめてありますので、ご参照ください。

【不貞行為と慰謝料】示談書に書いておくべき条項とは? 今回はこのようなご質問にお答えします。 不貞行為の示談書で書いておくべき条項 0 表題 表題は「示談書」か「合...

公序良俗に反する内容でない限り、基本的にどのような取り決めをしても有効と判断されます。

不貞慰謝料を支払う側が注意しておくべき条項

もっとも関心がある条項は、慰謝料の給付条項でしょう。

(1)慰謝料の金額

(2)支払期日

(3)支払回数(一括または分割)

(4)支払方法(銀行振込の場合、銀行・支店・種別・口座番号等)

(5)振込手数料負担をどちらが負うか(通常は支払う側)

この条項は、必ず検討することでしょうからここではあえて触れません。

支払う側が意外と軽視しがちな条項

慰謝料を支払う側が、意外と軽視しがちな条項。

それは違約金条項です。

不貞慰謝料の示談交渉は、慰謝料を支払う側が弁護士に依頼しない場合、負い目があるため、権利者側の意向に沿ったかたちで進められがちです。

不貞慰謝料を請求する側は、「二度と関わるな」「目の前に現れるな」という憎しみに近い気持ちでいることが多く、示談書に「配偶者と二度と不貞関係を持たない」という接触禁止の約束条項を求めることがあります。

そのうえで、約束の拘束力をより強めるため、違約金条項を求めることも多くあります。

違約金条項は、違約金の額が法外なものでない限り、ごく普通に有効性が認められます。

慰謝料を支払う側で注意すべきなのは、どのような場合に約束違反となるかが曖昧な記載です。

不貞慰謝料を請求されている方は、多くの場合、早く示談を成立させて、精神的に楽になりたいという気持ちも強いでしょう。

しかし、焦らないでください。

深く検討しないで安易に応諾してしまうと、あとでトラブルとなる場合があります。

例えば、以下のような条項を定めた場合、何が問題になるでしょうか。

「第○条 甲は乙の配偶者である丙と、二度と接触しないことを約束する」

「第△条 甲が第○条の約束に違反した場合、甲は乙に対し、違約1回につき金100万円の違約金を支払う」

このような条項を定めた場合、「接触」の意味合いが曖昧なことが問題です。

甲と丙の関係性やお互いの居住地によっては、業務上の必要があったり、子どもの学校の関係であったり、極端な話では偶然飲食店や道端で出会ってしまう場合もあるでしょう。

弁護士
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このような場合でも「接触」に該当したとして、将来違約金の支払いを求められてしまうリスクがあります。

違約金条項を入れることに同意する場合の注意点

不貞慰謝料を請求する側から示談書に違約金条項を入れることを求められた場合、これを拒むことは事実上困難でしょう。

違約金を入れることを拒むということは、とりも直さず、また接触する可能性がゼロではないと言っているのに等しいからです。

拒んだ場合、ただでさえ感情的になっている相手に対し、火に油を注ぐような事態に陥りかねません。

しかし、慰謝料を請求されている側としては、金額面では折り合いがついており、二度と会うつもりがないのであれば、示談交渉が破断になり、裁判を起こされることは避けたいところでしょう。

ではどのような対応をするのがよいでしょうか。

不貞慰謝料を請求されている側としては、たとえ無理な要求をされたとしても、誠実な対応を崩してはいけません。

弁護士
弁護士
「違約金条項を入れなくても必ず約束は守る」ということを説明しつつ、上に書いたような場合が起きる可能性があることを伝え、違約金条項は外してほしい、違約金条項を入れる場合には、約束違反となる場合を限定してほしいと交渉していくことになります。

元の条項「第○条 甲は乙の配偶者である丙と、二度と接触しないことを約束する」

↓ これだけでもだいぶ限定され、防御がしやすくなります。

改訂条項「第○条 甲は乙の配偶者である丙と、正当な理由なく接触しないことを約束する」

↓ 更に加えると、

再改訂条項「第○条 甲は乙の配偶者である丙と、正当な理由なく私的に接触しないことを約束する」

「第△条 甲が第○条の約束に違反した場合、甲は乙に対し、違約1回につき金100万円の違約金を支払う。但し、偶然の接触は違反と見做さない。

このような再提案が慰謝料を支払う側からされた場合、不貞慰謝料を請求する側も拒む理由がありませんので、同意するケースが多いでしょう。

まとめ

不貞慰謝料の示談書は、慰謝料を支払う側の方が特に注意を払う必要があります。

弁護士
弁護士
不貞をしてしまったことは真摯に謝罪すべきですが、示談をするにあたっては、全て権利者の言いなりにならなければならない理由はありません。

不貞慰謝料は、自身に負い目があることと、早く解決したいという気持ちから、自分では、なかなか適切な交渉が出来ないことも多いでしょう。

必ず弁護士に依頼しなければならない訳ではありませんが、結果として過当な義務を負わされないよう、代理人弁護士に依頼することも含めて検討するとよいでしょう。

弁護士
弁護士
弁護士に依頼した場合としなかった場合で、同じ慰謝料額を支払う示談になった場合でも、相手と直接交渉するという精神的負担を免れ、将来のリスクに目配りした示談書を得られるという点でメリットは十分にあります。

この記事が少しでも参考になればうれしいです。

それでは、また!