不貞慰謝料

【幾ら請求できる?】不貞行為の慰謝料請求の相場と判断材料について

「夫(妻)の不貞が発覚しました。」
「相手に慰謝料請求したいのですが、幾らくらい請求できますか?」

不貞行為の相談で必ず質問されるのが慰謝料請求の相場です。

今回はこの点について取り上げたいと思います。

【幾ら請求できる?】不貞行為の慰謝料請求の相場について

1 不貞慰謝料請求は、金額に決まりは無い!

「幾ら請求できますか?」「幾らくらい請求するとよいですか?」

浮気相手に慰謝料請求をしたいというご相談で、ほぼ毎回聞かれる質問です。

これに対し、私は

「幾ら請求したいですか?」

と必ず尋ねるようにしています。

自分が受けた精神的ショックはお金に換算してどのくらいだと感じておられるのか、そこが知りたいからです。

なぜなら、

相手が支払ってくれるかはともかくとして、請求すること自体は、幾らであっても構わないからです。

2 不貞慰謝料請求の根拠(おさらい)

民法第709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

あなたの配偶者が不倫関係を持った場合、あなたは、配偶者と不貞相手の2人の行為(不法行為)によって精神的に傷つけられたことになります。

配偶者と不貞相手は、あなたに共同不法行為を行ったとして、あなたが被った精神的苦痛につき連帯して損害を賠償する義務を負います(民法719条)。

民法第719条

数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

慰謝料」とは、精神的苦痛を与えたことについて支払わなければならない賠償金のことをいいます。
財産的な損害を与えた場合の賠償請求は、単に損害賠償請求と言いますが、精神的損害については「慰謝料」というのです。

3 不貞行為の慰謝料請求の相場は幾らくらい?

上で、「請求すること自体は幾らであっても構わない」と書きました。

しかし、あまりにも非常識な請求はしたくは無いでしょうし、逆に少なすぎる請求をするのも悔しいですよね。

そこで「相場」の話が出てくるのですが、

弁護士
弁護士
不貞行為に基づく慰謝料の相場は、50万円~500万円の範囲内で、特に100万円~300万円での解決が圧倒的多いと思われます。

示談解決ではなく、裁判(判決)になった場合の目安としては、

別居・離婚に至らない場合:50万円~150万円
別居・離婚に至った場合:100万円~300万円

程度とみておくのが良いでしょう。

もちろん、事案によって解決金額は上下に振れます。

弁護士
弁護士
不貞行為の慰謝料請求は、多くのケースが話し合いにより、示談で解決されています。
弁護士
弁護士
話し合いによる交渉では、裁判となって最終的に裁判官が判断する際の判断要素とは異なる事情で金額が決まることが多いのです。

裁判となり最終的に裁判官が判断する際の判断要素は後述します(4で述べます)が、話し合いの段階では、裁判の基準とは異なる事情により金額が決まることが多いのです。

弁護士
弁護士
ここを理解しているのとしていないのとでは大違いです。
法律相談に行った際に、このあたりの助言をしてくれるかどうかが、その弁護士に依頼するかどうかの判断基準になるのではないかと思います。

話し合いの段階で金額を決める要素

(1)資力

支払う側からすると、支払う原資が無ければ幾ら支払いたくても支払うことが出来ません。

したがって、最終的な示談金額には、おのずと相手の資力による限界が生じてきます。

どうしても、ある一定の金額に載せたい場合には、分割払いを認めることになりますが、途中で支払われなくなるリスクを負うことになります。

また、分割払いの解決は、支払いが完了するまで相手との関係が継続しますので、なかなか気持ちの切り替え(リセットしてやり直す)が難しいというデメリットがあります。

(2)回収可能性

不貞をされた側(慰謝料を請求する側)からすると、相手から提示された金額が納得いかず示談交渉を決裂させる場合、慰謝料請求訴訟を提起しなければなりません。

長期に渡って訴訟を戦い、勝訴できたとしても、自動的に相手からお金が回収できるわけではありません。
相手が支払わなければ判決に基づき強制執行するしかありません。
相手の財産や就労先が分かれば差押えも可能ですが、訴訟・強制執行には費用が掛かりますし、財産を隠されたり退職されてしまった場合、強制執行による回収は困難となるリスクがあります。

相手が公務員など安定した職に就いている場合には訴訟をしてでも自分が納得いく金額を目指していくということも十分考えられます。

しかし、相手が専業主婦、学生、転職が容易なパート・アルバイト等である場合には、回収可能性が高いとは言い難く、金額を譲歩してでも一括払いを求めていくという選択を取る場合があります。

(3)どれだけ早期解決を望むか

早く問題を収束させたい側、結論を急ぐ側が交渉上は不利です。

不貞慰謝料の交渉は、メンタル的にも負担が大きいですし、後述するように、家族や配偶者、職場に知られたくないなどの事情があります。

家族等にばれないように訴訟をたたかうのは相当大変です。

早期解決を希望する場合には、譲歩する幅を大きくして交渉していかざるを得なくなります。

(4)配偶者に発覚しているか否か

W不倫のケースで、未だ自分の配偶者に知られていない場合、(3)にも通じるところですが、配偶者に知られる前に収束させてしまいたいと考える方は多いようです。

(5)不貞発覚により離婚に発展するか否か

不貞が発覚したことにより、夫婦が離婚するか否かは大きな要素となります。

裁判官が判断する際にも、離婚という重大な結果を招いたことは、慰謝料の金額を高くする方向へ作用します。

離婚しない場合には、別途考慮しなければならない問題があります。

それは求償権(きゅうしょうけん)の問題です。

冒頭に述べたとおり、配偶者と不貞相手は共同不法行為をしたとして連帯債務を負います。連帯債務とは、簡単にいうと、どちらに対しても全額を請求することが出来るという権利関係です。
したがって、共同不法行為をした一方だけが慰謝料を支払った場合、他方に対し、原則半額を求償することが出来ます

例えば、不貞相手は200万円を払った場合、100万円を求償できるということになります。
つまり相手に200万円を支払わせたとしても、配偶者が不貞相手から、後日、半額を求償されてしまう可能性があるということです。

したがって、実務的には、紛争を一回的に解決するため、求償権を放棄させて示談・和解をします。
その際に、求償権に見合う額を減額することがあります

4 裁判になった際の考慮要素

示談で解決できず、裁判になり、裁判手続の中でも和解できず、判決まで至るケースは決して多くありませんが、裁判官が判断する際に考慮要素として考えられているのは、以下のような事情です。

再度確認しておきたいことは、慰謝料とは、不法行為により被らせてしまった精神的損害に対する賠償ということです。

したがって、不法行為の違法性の高さ、精神的損害の大きさに影響すると考えられる要素が考慮されます。

(1)婚姻期間

婚姻期間が長いほど、不貞をされた場合の精神的ショックは大きくなりがちです。

(2)婚姻生活の状況

婚姻関係が良好では無かった場合は、減額要素となります。

円満であった場合には、不貞が家庭を崩壊させたと判断され、増額要素となります。

破綻状態であったと客観的に認められる場合には、慰謝料の支払義務はありません。

(3)既に離婚した又は離婚に向けた別居に至っているか

離婚を招いてしまった又は離婚に向けて既に別居を開始している、という場合には、結果が重大であり、精神的ショックは大きいと言えます。

(4)不貞の期間・頻度・態様

長期にわたり、何度も繰り返されているような場合の方が、精神的ショックは大きいと言えるでしょう。

(5)どちらが不貞に積極的であったか

不貞に積極的であった場合、より違法性は高いと言えるでしょう。

(6)子どもの有無

夫婦間に子どもがいる場合、不貞・婚姻関係破綻の影響は大きく、精神的ショックもより大きいと言えるのが通常でしょう。

(7)不貞相手の妊娠の有無

不貞相手が妊娠していた場合、その衝撃は大きいでしょう。

(8)不貞相手の反省・謝罪の有無・関係を断つことの約束

発覚直後から真摯に反省し、それを態度で示していた場合には、減額要素となる場合があります。

まとめ

不貞行為の慰謝料の相場と判断材料は以上のとおりです。

なお、立証資料が必要とよく言われますが、交渉段階で既に相手が不貞を認めている場合には、立証資料は必要ありません。

上に解説したとおり、双方が置かれた状況で金額が決まります。

しかし、相手が不貞を認めない(又は認めない可能性が高い)場合には、裁判となった時に十分に立証が可能といえる程度の証拠を保有しておく必要があります。

証拠さえあれば強気の交渉が可能となりますが、証拠を保有していないと裁判を起こしても立証責任が慰謝料を請求する側にありますので、敗訴するリスクがあり、交渉が困難になります。

強気の交渉が出来れば、相場以上の金額の確保に繋がるかもしれません。

以上の解説をご参考に交渉されることをお勧め致します。

不貞慰謝料は請求する側も大きな精神的負担を感じますよね。

もし、自分で相手に連絡すること自体が辛く感じる場合には、一度弁護士に相談してみましょう。

この記事が少しでも参考になればうれしいです!

それでは、また!