不貞慰謝料

【不貞行為と慰謝料】示談交渉の際にやってはいけないこととは?

妻の不貞相手と今度の日曜日に喫茶店で会うことになりました。どのような点に注意しておけばよいでしょうか。

今回はこのようなご質問にお答えします。

不貞相手との示談交渉の際にやってはいけないこと

不貞相手に対し、不貞をしたことを責任を追及し、慰謝料を請求することは、正当な権利です。

誓約書や示談書の作成を求めること自体も問題ありません。

しかし、その態様によっては、逆に損害賠償を請求されたり、慰謝料の減額を求められたり、場合によっては犯罪となってしまう場合もあります。

お気持ちはよく分かりますが、アンガーマネジメントが重要です。

相手が録音・録画している場合もあります。

以下の点に注意して臨むようにしましょう。

1 暴行

相手が不貞を認めない、慰謝料の支払いを約束しない、不貞腐れる、お宅が悪い、といった対応をされた場合、かっとなって胸倉を掴んだり、水をかけたり、物を投げつけたり、近くのものを蹴り上げたりしてしまうことがあります。

このような行為は暴行罪になります。

場合によっては警察に通報され、逮捕されます。

不貞を追求しに行ったのに、自分が逮捕されては意味がありませんし、その後の交渉は非常に難しくなります。

絶えず冷静にいることは難しいかもしれませんが、感情がたかぶっても絶対に暴行を振るってはならないということは肝に銘じておいてください。

刑法第208条(暴行)

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

相手がケガをしてしまった場合は、更に状況が難しくなります。

こちらが被害届を取り下げてもらうようにお願いしなければならないような立場になってしまいます。

刑法第204条(傷害)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2 脅迫・恐喝

脅迫や恐喝もしてはなりません。

刑法第222条(脅迫)

1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

たとえば、不貞の事実を職場やネット上に流してやるとか、マンションにビラを撒いてやると言った行為です。

脅迫行為により金銭の支払いを求めた場合には、恐喝に該当する場合もあります。

慰謝料の請求自体は正当な権利行使ですが、請求の態様が脅迫に基づくものであった場合には恐喝に該当することがあります。

刑法第249条(恐喝)

1 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法上の脅迫にあたらなくても、民法上の強迫(96条)にあたる場合には、せっかく示談書を書かせたとしても、取り消すことができます。

民法第96条第1項 

詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

脅迫によりサインさせても意味がありませんので、注意が必要です。

3 相手の自宅や職場に乗り込む

配偶者の不貞を知り、配偶者から相手がどこの誰かを聞き出すことに成功すると、不倫相手の家や職場などに乗りこんで不倫相手に直接怒りをぶつけたいと思うかもしれません。

しかし、自分ではかっとなることは無い、冷静に話が出来ると思っていても、いざ相手と対峙すると理性が効かなくなるということは十分考えられますし、言葉が乱暴になったり、手が出てしまう可能性も無くはありません。

したがって、少し、時間をおいて冷静になる時間を取った方が良いです。

会って何を話し、どのような事実を認めさせ、何を約束させるのか戦略を練ってからでも遅くはありません。

確かに、相手は不貞行為という違法行為を行ってはいますが、相手の自宅は相手のプライバシー領域であり、家族や子どももいるかもしれません。

相手からプライバシー侵害・名誉棄損などを理由に反撃されるおそれもありますので、相手にそのような材料を与えないようにすることが重要です。

また、職場は、たとえ社内不倫であったとしても、職場自体は不貞と関係ありませんので、業務妨害となる可能性があります。
また、無関係な同僚に不貞事実が知られる可能性があり、これもプライバシー侵害・名誉棄損となってしまう可能性があります。

したがって、相手の自宅や職場に乗り込むことはやめておきましょう

4 退職の強要

社内不倫の場合、配偶者と不貞相手が同じ職場にいることが許せないという方も多いでしょう。

お気持ちはよく分かります。

そこで、不貞相手に職場を辞めさせたいと考える方も多いでしょう。

しかし、たとえ不貞行為があったとしても、相手に退職を強制することは出来ません。

暗に自主的に退職を求めることはギリギリ許される可能性もありますが、強要しようとすると、逆に相手から損害賠償請求されてしまう可能性もありますし、後の交渉で有利になることはありませんので、退職を強要することは控えておきましょう。

もっとも、配偶者の立場で、職場の上司に相談し、配置転換を求めること等は許容される余地があります。

具体的な事案によることになりますので、どうしても我慢ならないという場合には、弁護士に事情を説明して判断を仰ぐことをお勧めします。

5 公序良俗違反の示談書の作成

公序良俗違反となるような記載のある示談書を作成することは無意味ですのでやめておくことが無難です。

「本件慰謝料として100億円支払う」

「万一、再度不貞行為を行った場合、一生従う」

といった記載のある示談書です。

慰謝料が不相当に高額であったり、一生従うといった不当に自由を拘束するような記載は公序良俗違反となり無効です。

まとめ

今回は、不貞相手との示談交渉の際にやってはいけないことについてお話ししました。

不倫をされて、辛く、腹立たしい気持ちは本当によく分かります。

しかし、交渉の方法を誤っては、ますます悔しい事態に陥ることにもなりかねませんので、慎重に対応することが必要です。

不貞の問題は、なかなか冷静に対処するのが難しい分野です。

相手と交渉を始める前に、一度は弁護士に相談してみても良いと思います。

この記事が少しでも参考になればうれしいです!

それでは、また!