離婚調停

自分の調停に調査官が入りました。いったい家裁調査官って何する人?

自分が調停室に入ると、男女の調停委員のほかに、なぜかもう一人、職員さんらしき人が座っている。

「この人誰?」と思いながら座るなり、「調査官の○○ですです」と挨拶され、気が動転していてよく分からないまま調停が始まってしまった、親切そうだったけど。。という相談を時折受けます。

今回は、調停で、調査官が関与されることになった(又は既に関与している)方に向けて、最低限知っておきたい調査官の基礎知識を取り上げたいと思います。

調査官ってどんな人?

調査官ってどんな人?

家庭裁判所調査官」という言葉だけを見ると、何かを調査することだけを仕事にしている、と勘違いされるかもしれません。

しかし、家庭裁判所の調査官は、様々な調査を行い、調査結果を裁判官に報告するという仕事のほかに、当事者を支援するという役割も担っています。

難しい言葉でいうと、家庭裁判所は、司法的機能(何かを判断すること)だけでなく、後見的・福祉的機能(当事者を助けること)も要請されているため(調停もある意味、後見的・福祉的機能の一つといえるのですが、)、調査官もこれら2つの機能の要請にこたえるために各家庭裁判所に配置されているのです。

調査官は、心理学・社会学・教育学・社会福祉学などの人間関係諸科学の専門知識と法律知識を活用し、調停当事者の背景事情や心理を分析し、当事者に助言をしたり、双方の主張を整理したり、関係機関と調整を行ったり、調停委員会と意見を交わしながら、当事者の調整を試みたりします。

要はいわゆる「調査」だけを行うのではないということを理解しておけば大丈夫です。

何を調査するの?

調査官による調査は、調査官が自分で勝手に調査すると決めて独自に調査を開始するのではなく、裁判官と意見交換し、原則として裁判官の調査命令を受けて行われます。

例えば、面会交流や親権について争われている場合、調停には子は裁判所に来ていませんので、子の気持ちや生活状況が分からないことがあります。

子が両親の紛争に巻き込まれている場合もあります。

このような場合、裁判官から「子の意向」や「子の状況」に関して調査命令が出され、調査が行われます。

調査官は、子を監護している側の親に子を裁判所に連れてきてもらって事情の聴き取りを行ったり、家庭訪問をして、子がどのような状態にあるのか、どのような住居で生活しているのかを明らかにします。

これにより、子に関して裁判所が関与することを示し、当事者双方に子の福祉の視点を思い出させる効果が生じます。

調査が行われると、調査官により、調査報告書が作成され、裁判官に報告されます。

調停委員会は、この調査報告書をもとに、調停の方針を決めていきます。

調査官は、医療機関、社会福祉機関、面会交流援助を行う第三者機関との調整を行う場合もあります。

特に、当事者に知識が乏しかったり、自分で積極的に動けない場合に、橋渡しの役割を果たします。

そのほか、当事者が調停に出席してこない場合に、きじつに出頭するように働きかける「出頭勧告」や、調停が成立した後、当事者が調停調書で約束した内容を守らないという申し出があった場合の「履行勧告」なども調査官の職務の一つです。

このような多岐にわたる調査官ですので、かなり解決内容に影響する重要な役割を担っています。
私が調停委員を担当している事件に調査官が入ることが決まると、とても心強いですし、代理人として調停に出席している場合には、調査官に対する対応を重要視しています

なぜ私の調停に出席することになったの?

あなたの調停に調査官が出席することになったということは、少なくとも調停委員会を主宰する裁判官が、立会いの指示(命令)を出しています。

(調査官が、「今日はこの調停に入ろう」などと独自に考えて立ち会っている訳ではありません。)

裁判官による調査官立会の指示は、

1 双方の主張や意向、事実の認識に大きな隔たりがあり、調査官に一定の主張整理や調整、
2 当事者の性格や行動、調停行為能力(簡単に言うと、調停で行われている内容を理解し、自分の意思を示すことが出来る能力)の分析
3 今後の調停や審判に向けた準備や留意点の確認

といったことを期待して出されることが多いと思われます。

自分の事件が「特に問題がある事件」として取り扱われているというよりは、より裁判所に関心をもって進められていると受け止めると良いと思います。

調査官が作成した調査報告書は必ず閲覧すること!

当事者は、調査官が作成した調査報告書は、裁判官が相当と認めた場合には閲覧(目を通す)・謄写(コピーを取る)することが出来ます。

ほとんどのケースは、調査官による調査報告書は裁判官だけでなく、当事者が読むことを念頭に作成されています。

調停委員から、調査報告書の閲覧・謄写を促されることも多いと思われますので、必ず入念に読み、内容を確認しておくようにしてください

調査報告書には、「調査結果」「調査官意見」が記載されていることが一般的です。

特に調査官意見は、今後の調停・審判の基礎とされることが多いですので、よく読んで理解しておくようにしてください。

調査報告書を読み、意見があれば、意見書を提出することも可能です。

調査官の調査手法に関する留意点

調査官の役割は以上のとおりですので、必ずしもあなたに全て共感や受容感を示してくれるとは限りません。

子に関して安易な考えを持っているような当事者に対しては、時には厳しい意見を述べることもあるかもしれません。

調査官はカウンセラーではなく、中立機関である裁判所の機関にすぎませんので、どちらの味方にもなりません。

これを頭に入れつつ、出来る限り正確な調査を行ってもらえるよう、最初から抵抗感や拒否感を示さずに、協力的に対応すると良いでしょう。

まとめ

裁判所調査官というのは、一般の方からすると、何となくヴェールに包まれたよく分からない人たち、というイメージだと思います。

弁護士
弁護士
私も未だにそうです。

しかし、調査官は、人間洞察力に優れ、性格的にも人好きで面倒見がよく、当事者を思って熱心に職務を行っている方が多いです(何度も一緒に仕事をしたり、酒を飲んだ末の感想です)。

ぜひ、調査官を上手に利用して、よりよい調停解決を実現してください。

それでは、また。